
この写真のかたは、松本剛さん、元大阪HIV訴訟弁護団長。今年の7月21日、70歳でお亡くなりになられました。松本剛さんについて、11月7日の読売新聞夕刊に出ていました。見出しは“人の尊厳 重んじた闘士”。
小さな記事ですが、胸を打つものがありました。
'95年7月26日の大阪地裁で彼の憤りを抑えた低い声が響きます。「エイズ薬害が判決によらなければ解決できなかったことに怒りを覚え、弁護士として無力感を感ぜずにはいられない」
エイズ薬害の原告が壮絶な闘病をして差別と必死でたたかっているのを、誰よりも松本さんがほんとうに理解し、闘ったことがうかがえます。その言葉を聞いていた弁護団の一人は「感動で背筋が震えた」とかたっています。また、HIV訴訟の提訴前に、小学生の長女を連れて被害者との面談に向かいます。エイズへの偏見が激しい時代に、父親がエイズの患者を弁護するということで家族への風当たりを心配したのでしょう。父は「苦しんでいる人を助ける仕事。お父さんを信じて」と言ったそうです。なにか、こう、覚悟を決めている感じが僕には伝わってきました。
また、請求額を相場からはじきだそうとする弁護団に「人の命がこんなにひどい形で失われているのに。それを一体、何事や」と。請求額は異例の1億円。訴状には"損害額算定の作業は『人間の尊厳』そのものの価値を決定することと同じ重みを持つ”と記されました。
たまたまかもしれませんが、松本剛さんという人を知ることができて、本当に良かった。
ただ、それだけです。

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